2017-09

Lucky One を聞きながら・・・・・・。短編小説。 - 2017.01.25 Wed

Lucky One を聞きながら・・・・・・。

ディオ ver

タイトル:「偶然にも出会えたことを、運命的に感じて




 月末最後の土曜日の夜に映画館に行くことは、私のささやかな楽しみのひとつだ。

 駅から離れた場所にある定員が200人程度の小さなミニシアターには、週末なのにほとんど人がいない。23時すぎから始まるレイトショーだと、映画が終了する頃には終電が、なくなるからだ。交通手段がタクシーに限られてしまうこの時間帯は、騒がしい場所が苦手な私が映画を楽しむことができる、唯一の至福のときでもある。

 周りを見渡すと、全員が「おひとりさま」と呼ばれる人たちばかりなのに全く違和感を感じることもなくて。ひとりの時間に慣れている私には、それがとても、居心地良かった。

 でも、その日は違った。いつもなら、同じ列に人がいることはないのに、分厚い眼鏡を掛けた若い男性が、私の2つ隣の席に座った。周りを見渡しても館内にいる人は、後方の席に数えるほどしかなくて。空席だらけの中で、その席に座る理由が分からない。カウンターで指定席を購入していたとしても、普通なら人が近くにいれば、席を移動するはずだ。

 本編が上映される前の短いコマーシャルが流れる薄暗い映画館の中で、どこかに移動してくれないかと、私はじっと男性の横顔を睨みつけた。冷たい視線など気にすることもなく、男性はコマーシャルを、眼鏡を拭きながら見ていた。近くに人がいるというだけで、なぜだか、ストレスを感じてしまう。席を移動しようかと考えたが、本編が始まったので、思いとどまった。

 私は、映画を見ながら、売店で購入したポップコーンを少しづつ、口に入れた。不機嫌になったせいか、いつもより歯に力が入って、ボリボリと音を立ててしまう。そんな中、2つ隣の席にいた男性が、気が付けば、すぐ隣の席に座っていた。

「うるさいです」
「え?」

 思わず、ポップコーンを持つ手が止まり、全身が硬直して固まった。彼との距離は、わずかに20センチほどで。あまりにも近すぎる二人の距離に動揺してしまい、手が震えた。私は、掴んだポップコーンを、数個、床に落としてしまった。

 まさか・・・・・・?こんなところに、エクソのディオがいるわけないよね。

 暗闇だとはいえ、分厚いレンズの眼鏡を掛けていても、整った顔立ちには見覚えがあった。テレビやスマホ画面で、胸をときめかせながら見つ続けた憧れの人に見紛うほどで。端正すぎる顔立ちを凝視していると、眉をしかめた彼が、顔を逸らした。

 彼は、そのまま、隣の席に座り続けて、元の席には戻ろうとしない。私は、上映されている映画より、ディオに良く似た男性が気になって仕方なくて。別人だったとしても、若くて魅力的すぎる男性がすぐ隣にいるというだけで、心拍数が跳ね上がった。

 落ち着きを取り戻そうとして、私は再び、ポップコーンを食べ始めた。隣の人のことなど気にせず、上映中の映画に集中することにした。冷静になれない時ほど、いつも通りにしたほうが良い。隣にいる人はディオに似ているだけで、どうせ、二度と会うことのない他人なのだから。

 コメディ映画の笑いのシーンで館内が賑やかになった時、隣に座っている彼が、小さなため息をこぼした。

「ポップコーン食べながら見るなら、席を移動してくれませんか?」

「はぁ?????席、いっぱい空いてるんだから、そっちが移動すればいいんじゃないですか!私の方が先に座ってたんです。そっちは、後から来たくせに!」

 館内で、思わず大きな怒鳴り声を上げてしまう。ハッと、一瞬で我に返った私は、恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまった。そんな私に追い討ちをかけるように、彼は、低くて小さな声でボソボソと話しかけた。

「そんな性格だから、深夜に映画を一人ぼっちで見なきゃいけない可哀想な人なんですね」
「な、なんですて!そっちだって、一人のくせに!」

 今まで、おひとりさまだとしても、それを寂しくは思ったことは一度もない。むしろ、自ら好んで一人の時間を楽しんでいる。なのに・・・・・・。売り言葉に買い言葉だとしても、ムキになって言い返してしまうなんて。まるで、おひとりさまの自分自身を、可哀想な人だと認めてしまっているみたいで、悔しくなった。

 主演のコメディ俳優がオーバーなアクションで、笑いを誘うシーンなのに、全く笑えそうにはなくて。二人の間に、気まずい沈黙が流れた。

「ポップコーンは、キャラメル味が一番おいしいよね」
「ちょっと、何を勝手に、食べてるんですか!」

 いつの間にか彼は、私が手に持っていたポップコーンを、許可なく勝手に食べ始めていた。カーッと頭にきて、ひそひそ声で猛烈に抗議する。無理矢理小さい声を出したせいか、押し殺した声が裏返って、しゃっくりが出たみたいになってしまった。蛙を踏み潰したような声に驚いた彼は、口に手をあてて、クスクスと笑った。

「じゃぁ、少し頂戴」
「ど、どうぞ・・・・・・」

 向けられた笑みを見ていると、怒りがスーッと、どこかに消えていった。目じりの下がった優しい笑顔が、好みだったせいかもしれない。手に持っているポップコーンのカップを、彼に近づけると、ありがとうと言って、さらにニッコリと微笑んだ。

「食事制限してるから、近くでボリボリされると我慢できなくなってしまうんだよね。あ~あ、深夜なのに、食べちゃった・・・・・」
「ダイエット中なんですか。全然、太ってないのに」
「周りは運動ばっかりして筋肉をやたらとつけたがるけど、俺は、あんまり・・・、鍛えたくなくて。少し太ったなって思ったら、食事を抜けば痩せるし」
「鍛えてる男の人の身体、素敵だと思います」

 男性の体付きなんて、服の上からだと、はっきりとは分からない。でも、中肉中背の細いラインの彼が、筋肉質タイプではないということは、なんとなく分かった。

 彼は、私をじっと見つめながら、意地の悪い笑顔を浮かべて、口先だけを動かした。口の動きだけで、何を言っているのか、私は安易に読み取ることができた。「む・か・つ・く」その4文字の言葉を、声に出さないところが、なぜだか少し憎たらしかった。「そ・う・で・す・か」と、同じように声を出さず口先だけ動かしてみる。理解できなかった彼は、不思議そうに首を傾げた。

「君が座ってる席ね、俺のベストポジションなの」
「ここ・・・・・・が、ですか?」

「今日はその席が取れなくてガッカリしたよ。君さえよければ、譲ってくれると嬉しいな」

 私は、ひとつ左隣に移動して、素直に席を譲った。2時間近くも隣の席に、知らない人が座っているのに、全然嫌な気分もしなかった。ベストポジションという席に居座った彼が、上映が終わるまで私に声を掛けることはなかった。

 彼は、エンドロールが始まってすぐに、席を立った。帰る間際に、バイバイと小さく手を振って挨拶をしてくれた。黙って立ち去ることもできたのに。座ったまま、入り口の大きな両開きのドアに向かう彼の背中を見送った。最後まで確信は持てなかったけれど、後姿まで本当にディオに似ている人だと思った。

「あんなイケメンの隣で、映画を見ることなんて二度とないわね」

 コメディ映画だったのに、どうしてだか、悲しい映画を見た後のように胸がの奥がチクリと痛んだ。映画を見たあとで、こんなにも切なくなったのは初めてだった。




2017/01/25




 それから。何回か同じ映画館に通ったが、彼には一度も会えなかった。1ヵ月後の同じ時間帯に会えるかもしれないと期待しても、無駄だった。

 人生の中で、いくつもの出会いがあるけれど、お互いを深く知り合うことができる関係になれる人は、ごくわずかだ。友人になることすら困難なのに、恋愛に発展させることは、なおさら難しい。電車の中や、通りすがりの道路ですれ違う人の顔なんて、いちいち覚えていなし関心もない。映画館で隣の席に座った人も、偶然なめぐり合わせだとしても、所詮は道ですれ違っただけの赤の他人なのだ。

 ディオと良く似た人に出会ってから1ヶ月半が過ぎた頃、気持ちの変化に気づいた。彼との出会いを、あの日限りにはしたくない。すれ違っただけの赤の他人では終わらせたくないと願っていた。

 無理だと分かっていても、心のどこかで期待してしまっている。映画館に通い続ければ、再び、彼に会えるかもしれないと。恋に落ちた人なら誰もが、淡い期待を抱いてしまうもので。未練がましい自分自身もそんなに嫌いじゃなかった。

 一途な想いは、私を行動的にさせた。人混みが苦手だったはずなのに、休日ごとに昼間や夕方の時間帯の映画館に、足を運ぶようになった。「おひとりさま」なのに、周りの視線を気にすることもなく。

 それでも・・・・・・。

 どれだけ期待しても、再び、彼に会えるはずなどなくて。映画が終わって、大勢の人とすれ違うたびに、もう無理なんだと打ちのめされ、寂しさは増した。

 彼と出会って2ヶ月後の週末のレイトショーが終わった頃、ようやく未練が、諦めに変わった。

 私は、いつの間にか、彼が言うベストポジションの席もしくは、その両隣の席を指定して買うようになっていた。混雑していて、3つの席が取れないときは、次回へパスするようになった。

 なぜか、その席に座るだけで、彼のことを思い出して胸に切なさが込み上げた。もう、ぼんやりとしか顔を思い出せないのに、こんなにも切なくなるなんて、恋とは不思議なものだと思った。

 彼と出会って2ヶ月半が過ぎた。

 その日は、平日なのに代休という形で、仕事が休みになった。せっかくの特別な休日は、優雅に過ごしたくて。早起きをして、朝一番の時間帯から映画を見ることにした。

 普段は身だしなみなんて適当なのに、気分が良かったせいか、メイクや洋服選びに時間を掛けて、鏡の前でお洒落を楽しんだ。ひとりぼっちのおひとりさまなのに、誰かとデートをするみたいに。


 早朝から映画を見るのは初めてだった。朝一番の館内は、レイトショーと同じくらい人が少なくて。ベストポジションの席は、簡単に取ることができた。平日の朝だと、こんなにも閑散としているものなのかと戸惑った。満員で混雑した館内より、人が少ないほうが静かで落ち着く。やっぱり私は「おひとりさま」向きなんだと、今日を境に、早朝か、レイトショーのみに映画館へ来ようと改めて思った。

 私は知らない間に、うとうとと居眠りをしてしまったようで。

 上映されている映画が、あまりにも退屈な恋愛物語だったせいか、仕事の疲れが溜まっているせいかは分からない。心地よい睡魔に襲われている中で、トントンと右肩を軽く誰かに叩かれて、目が覚めた。

「すいません。寝るなら場所、変わってくれませんか?」
「ここ、指定席ですから。無理です」
「いや、でも、寝てるならその席じゃなくても問題ないでしょ」
「寝てませんから。ちょっと、考え事してただけです」

「ヨダレの跡がついてるのに?」

 思わず、口元を手で拭ってしまう。一気に眠気が覚めて、私は、パッと顔を上げた。そこには、会いたくてたまらなかった人がいて。優しく微笑みかけていた。

「冗談なのに」
「今、朝の10時ですよ。なのに、どうしてここにいるんですか?」

「どういう意味?」
「いえ・・・・」

 聞き覚えのある低い声。ふんわりと漂う爽やかなコロンの香り。無性に恋しさが込み上げて、胸の奥が苦しくなってしまう。ああ・・・・。隣に待ち焦がれた彼がいる。やっと会うことができたんだ。

「そういえば、この前に会ったのは深夜だったかな。今日は、夕方から仕事なの。朝だったら、俺に会わないって思ってた?残念だったね」
「別にそういうわけじゃ」

「でも、趣味が映画鑑賞だなんて、俺達、結構気が合うかもよ?」
「どうでしょうねぇ」

 胸がドキドキして、まともに顔を見ることができなかった。でも、あなたに会いたくて、あれから何度もこの映画館に足を運んだなんて口が裂けても言えそうになかった。平静さを装おうとしても、ぎこちない作り笑いしかできないことがもどかしかった。

 私のことを覚えていてくれたんだ・・・・・。そのことが、本当に嬉しくて、胸の高鳴りも止まりそうになかった。お互いの顔がハッキリと見ることができないこの場所が、薄暗い映画館で本当に良かったと心底思った。

「俺は、もしかしたら、君に会えるんじゃないかって期待しながら、映画館に来たのに」
「えっ」
「そんなわけないでしょ。なに本気になってるの」
「・・・・・・」

「怒った?」
「別に・・・・」

 からかわれているだけだって、分かっていた。冗談だったとしても、嬉しさを押さえきれずに、顔がほころだ。

 本当に、すぐ隣に彼がいるんだ・・・・・・。

 再び、出会えた喜びで胸がいっぱいになっている中、思考回路が上手く回らなくて。話しかけられても、短い返事をすることで精一杯だった。彼は、そんな私に機嫌を損ねることもなく、隣に座ってスクリーンを真っ直ぐに見つめていた。


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「その席、結構、いい感じでしょ。?俺、視力が悪いから、前のほうじゃないと見えにくいし、だからといって前すぎると首が痛くなるし。でも、ど真ん中は嫌なんだよね。後ろの人の視線をなぜか感じてしまうっていうか~」

「君もその席がお気に入りみたいだね。それが、なんだか嬉しいから、今日はその席を譲ってあげる」

 もう、上映されている映画なんてどうでも良かった。ただ、彼の側にいられる。それだけで、心が満たされた。恋愛映画もつまらなかったはずなのに、急におもしろさを感じてしまって。いつの間にか、ストーリーに夢中になっていた。

 映画が中盤に差し掛かった頃、右肩に、わずかな重さを感じた。私の肩に、彼が頭を乗せてもたれかかるように眠っていた。

「あの・・・・・?」

 起こしたほうがいいのか悩んだが、このままでいたかった。電車に座っていても、見知らぬ人の頭が、肩にもたれかかるようになることは、たまにある。急な睡魔に襲われて、故意じゃないことも分かってる。でも、今、私の肩に頭を乗せている人は、見知らぬ人じゃない。私が、恋しくてたまらない意中の人なのだ。

「期待していたほどの内容じゃないから仕方ないかな。眠くなってしまうなんて、きっと疲れているのね」

 彼の寝顔を見つめて、小声で呟いてしまう。眼鏡越しに見える睫毛が、とても長くて。本当に・・・・、端正な顔立ち。見れば見るほど、・・・・・、ディオに似てる。いつまでも、この愁眉な顔を、見つめていたいと思った。

「君の隣が、居心地良よすぎるんだ」
「え?寝たふりだったの?」
「1分だけ熟睡したよ」

 上目遣いで私を見上げて、眠たそうに小さく微笑んだ。彼は、起きているのに、肩から頭を放そうとはしなくて。想像もしなかった夢のような甘い出来事にぼんやりとしてしまった。そんな中、膝の上に置いていた手に、ふんわりと温かいモノが重なる。彼が、私の右手をギュッと上から握り締めた。

 どういう・・・・、意味なんだろう?これって・・・・、もしかして、期待していいのかな?

 私はしばらくの間、重ねられた手の意味を考えた。でも、答えを知っているのは彼だけで。スクリーンを眠たそうに見つめる彼に、そっと話しかけた。

「そんなことより、この手は、どういう意味ですか?」
「嫌がらないんだね。俺的には、そっちのほうが不思議なんだけど」

 嫌どころが、逆にすごく嬉しくたまらなかった。でも、口にするのは恥ずかしくて。私は、無言で彼の手を強く握り返した。返事をする必要なんてなかったから。

「じゃぁ、映画が終わるまで、このままでいて。俺達、まるで恋人同士みたいだ」

 彼の長い指先が絡まった。温かくて、とても大きな手だった。椅子に深く腰掛て、本格的に私の肩に頭をもたれさせた彼は、丸くて分厚い眼鏡を外した。薄暗い中だったとしても、近すぎる距離から素顔を見て、私は確信してしまう。彼は、間違いなく、エクソのディオだと。

「眼鏡・・・・・、外すんですか?」
「うん。寝るなら、重いだけだから。そんなにジロジロと見つめられると、照れる」
「あの・・・・、ディオさんですよね?」

 確信しているのに、否定してほしくて質問してしまう。まだ、答えを聞いていないのに、胸の奥にチクリと、痛みが走った。

「違う。今は、ギョンス。オフの時間は、普通の一般人になれる気がするから」
「やっぱり、そうだったんですね。似てるとは思っていたけど、まさか、本人だなんて思わなかった」

 どうして・・・・・。ディオに似ているだけの人なら良かったのに。一般の人なら、この恋が上手くいく可能性もあったかもしれない。エクソのディオ、芸能人の彼との恋愛なんて、上手くいくはずがない。絶望的すぎる恋に、抱いていた恋心が粉々に砕け散っていく・・・・・。

「君は・・・・?名前、まだ聞いてなかった」
「私の名前は・・・・・」

 私の名前がとても可愛いと、見耳で囁いた。吐息と混ざった低い声が、脳内からいつまでも離れそうになくて。ギュッと手を繋ぎながら、このまま時間が止まればいいのにと願った。

 甘い時間はあっという間に過ぎてしまう。少しでも長く、側にいたいのに。スクリーンにエンドロールが流れ始めてすぐ、繋がっている手を自ら離した。彼の温かい指先が、離れていく・・・・・。

「次は、スケジュールが詰まってるから、いつ来れるか分からない。でも・・・・、また、会えるといいな。バイバイ」
「またね」

 座ったまま、彼を見上げた。席を立った彼は、急ぎ足で入り口の大きな両開きのドアに向かって行った。彼の背中が、ぼやけてよく見えない。もしかしたら、目には涙が溢れていたかもしれない。

 振り返ることもなく、遠ざかっていく・・・・・・。

 連絡先を聞かないで、別れてしまったことを後悔したが、聞いたところで、教えてもらえたかどうか分からない。拒絶されるのなら、聞かないままでいるほうが傷つかずにすむ。3度目の奇跡に期待することができるから。

 だって、彼は、私の手を握ってくれた。恋人同士のように。




2017/01/28




 星の数ほどの出会いがある中で、私は、有名人の彼と顔見知りになることができた。それも、ただのファンとしてではなくて。気のある素振りを見せられて、勘違いしてしまいそうになる。本当は、分かってる。単なる暇つぶし相手くらにしか思われてないって。偶然にも隣に居合わせただけの、何のとりえもない私が、彼女になんてなれるはずがないもの。

 人との出会いは偶然ではなく必然だと言う人もいる。彼との出会いが決まっていた運命だとするならば、逃げ出さずに受け止めたい。決して叶わない恋だとしても、心の中に湧き上がる感情を押さえることなんてできないの。もう、どうしようもないほどに彼に夢中になってしまったのだから。

 次は・・・・、いつ、彼に会うことができるのだろうか。恋しさが募り胸が締め付けられては、映画館での甘い出来事を思い出してしまう。日が経つにつれ、強くなっていく恋愛感情。その反面、連絡を取ることすらできない現状に、彼との距離感を感じるばかりだった。

 自宅と会社を往復するだけの平凡な毎日が続く中、寂しさを埋めるために、何度も彼の歌声を聞いた。その時だけ、本当に幸せな気分になることができた。

 私は、頻繁に通っていた映画館に行くのを止めることにした。繰り返し見たいと思えるほどの作品が上映中の映画には無い。人気アイドル歌手としての仕事が多忙すぎる彼に、そう簡単に会えるはずもない。約束しているわけでもないから、偶然に期待しても無駄足だけな気がして。次に会えるチャンスが出来るのは、きっと1ヶ月以上先になると思った。

 それでも。

 3度目の奇跡の日は、すぐにやってくる予感がした。彼と幸運にも出会うことができたのは、月末の最後の土曜日だった。その日は、私のラッキーデーで、強運な日に違いない。

 だから。

 きっと、月末の土曜日に会えるはずだと思った。心に強く願う事で、3度目の奇跡を引き寄せたかった。

 もし、会うことができなかったら・・・・・。その時は・・・・・・。映画館での出来事は全て無かったことにしよう。今後は、今まで通り、一人のファンとして、彼を応援していこうと決心した。

 甘い夢を見続けることはできても、一方通行で想い続けられるほど無欲になれない。だからといって、恋人になりたいと強欲に願っても、どうせ無理だもの。深追いすることは、自分自身を傷付けるだけになってしまうって、分かっていたから。




 この恋の結末が決まる決戦の土曜日は、ついに訪れた。覚悟を決めて映画館へ向かったはずなのに、足取りは重かった。映画が始まる2時間前に、私は、ベストポジションの席の予約確認をした。予想した通り、席は空席だった。それだけで、今夜も彼に会えない気がして、寂しさが増した。

 23時すぎから始まるレイトショーは、いつも通り、人はほとんど居なかった。館内の入り口付近で、出入りする人をぼんやりと眺めては、時間が過ぎるのを待った。私は、開演直前に、ベストポジションの席の左隣の席を指定した。私の指定席は、これからも彼の左隣でいたくて。そのほうがきっと、彼も喜んでくれるって思ったから。会えない人のことを想っても仕方ないのに。


 映画が始まっても、右隣の席は空席のままだった。周りを見渡しても、いつもと同じように、後方の席にしか人はいなくて。この状態が当たり前だったはずなのに、右隣に彼がいた時間の事を思い出してしまい、胸が張り裂けそうになってしまう。静かな薄暗い暗闇の中、上映されている映画を見ても、頭に全く入らなかった。

 時間だけが・・・・・、刻々と過ぎていく。3度目の奇跡なんて、起きるはずがないんだ・・・・・・。

 ストーリーが終焉に近づいた頃、私の方に近づく人の気配に気が付いた。ゆっくりこちらに向かってくる足取りに心拍数が跳ね上がる。その人は、黙って私の右隣の席に座った。誰が座ったのか確認しようとしても、涙が込み上げて視界が良く見えない。互いの視線が絡み合うと、待ち焦がれた彼は優しく微笑んだ。

 再び、会える事ができた喜びで、胸がいっぱいになっていく・・・・・。やっぱり、彼との出会いは運命だった。3度目の奇跡が起きたことに、感動して、今すぐにでも泣き出してしまいそうになる。私は、出来る限りの平静を装って、彼に話しかけた。面倒な重い女だって思われるのだけは、嫌だったから。

「もう、終わるとこだよ」
「急いできたのに。残念~」
「次の回にすればよかったのに」
「この回が最終ですけど・・・・。次がないって分かって言ってるのか」

 小声で話しかける彼は、口を開けて息切れをしていた。深く椅子に凭れて、何度も深呼吸を繰り返している。私は、バッグからハンカチを取り出して、彼にそっと渡した。

「額から汗が出てる」
「走ってきたから」

 ハンカチを受け取った彼は、額の汗を軽く拭った。手渡したハンカチを受け取る時に、上からギュっと手を握り締められた。彼の手は、前回と同様に大きくて温かかった。

「どうして、手を握るの?」
「ダメ?甘えたい気分なの」

「ダメじゃないけど」
「じゃぁ、このままで」

 膝の上に置かれた繋がった二人の手を見下ろしても、現実かどうかの実感がなくて。確かに、彼の温度を感じているのに、夢の中にいるみたい。そう、これが夢だと分かっているの。儚くて刹那な夢のようなひとときは、すぐに終わってしまう・・・・・・。

「私は、この時間だけ、あなたの恋人になれるのね」
「うん?」
「これ以上は、望まない。今、この瞬間だけでも充分だから」

「この時間以外も、俺の恋人になりたい?」

 見つめる眼差しは、真剣なのにどこか悲しげで。暗闇の中だったせいだろうか。余計に愁いを帯びた表情に見えた。私は、返事をすることをためい、黙ったまま彼を見つめた。なりたいと願うことは、彼を困らせることになるような気がしたから。視線を逸らして、俯くと、さらに強く手を握り締められた。上から、とても強く。

「それは、ものすごく覚悟が必要だよ。だけじゃなくて・・・・・・、俺も」

 エンドロールが流れ始めるまで、彼はずっと手を握ってくれた。それだけで、充分だと思った。もう二度と、会えなくても、たとえ、恋人になれなくても。だから、繋いだ手を、自分から放すことに抵抗はなかった。

「もう帰るね」
「またね」

 席を立った彼を見送ることができなくて。俯いたまま、私は、別れの言葉を告げた。けれど、湿っぽい言葉じゃなくて、友達と交わす挨拶みたいに終わる恋も悪くない。またねと言葉にしたのは、最後の強がりだったと思う。もう会えないと分かっていても。

 どうしてだか、分からない。一人になってから、悲しいはずなのに、涙が出なかった。エンドロールの最中に流れている女性歌手の失恋の歌を聞きながら、流れる文字を見つめ続けた。映画が終了して、館内がわずかに明るくなっても、すぐに立ち上げることができなかった。

 体が思うように動かない。どうして・・・・・?想像以上に、ダメージを受けていることが、他人事のように思えた。ふらつく足取りで、出口へと向かおうとしても、上り坂になっている通路がきつくて歩けなかった。出口にある大きな両開きのドアを見上げると、後方の席にはもう誰も居なかった。

「この映画館を出てしまったら・・・・・、本当に夢から覚めてしまうのね」

 静か過ぎる館内では、独り言すら誰かと会話しているみたいに響いてしまう。私は、壁際に寄りかかって立ち止まったままの自分自身に何度も言い聞かせた。ひとときでも、甘い夢を見られただけで幸せだったじゃないのと。ほんのわずかな時間だけだとしても、恋人同士みたいになれたのだ。

 それだけで・・・・・、充分だったはずなのに・・・・・・。

 彼の側にいられたわずかな時間が走馬灯のように蘇った。胸の奥から切なさが込み上げてくる。諦めなければいけない。夢から覚めなければいけないのに・・・・・・、まだ、できそうにないよ。一体どうしたらいいの?でも・・・・・、もう行かなければ。このまま、立ち止まったままではいられないから。

 顔を上げて、大きく一歩前に足を踏み出そうとした時、誰かに腕を掴まれた。あまりにも突然すぎる出来事に頭がついていかない。最初に気が付いたのは、ふわっと漂う爽やかなコロンの香り。

 そう・・・・、私はこの香りを知っている。恋しくてたまらない人の、かぐわしい香り・・・・・・。

「こんなふうに抱きしめたら、きっと温かくて気持ち良いんだろうなーって、ずっと想像してた」

 彼に両腕でギュっと抱きしめられているのだと気づくまで数秒かかった。見下ろす瞳がとても優しくて。顔にかかる髪を指先であげて、私の頬をそっと撫でた。

「なにそれ・・・・」
「想像してた以上にあったかい」
「帰ったんじゃなかったの」

「忘れ物があったから戻ってきた」
「忘れ物なんて何もなかったよ?」

 視線が絡み合うと、彼は、顔を傾けて唇にふんわりと口付けた。数秒ほど、わずかに重なっただけなのに、とろけるほどに甘い口付けで。柔らかく生温かい唇の感触が、いつまでも口元に残った。

「既成事実を作っておきたくて。これで、今日からは、俺の彼女」
「えっ・・・・・」

 今、私に起きている出来事が、現実かどうか確かめたくて。指先を伸ばして、自分の唇に触れてみた。唇には、まだ、彼の温度がほんのりと残っていた。

「俺が、好き?」

 私の顎を持ち上げて、彼は至近距離から詰め寄った。力強い端麗な瞳に見つめられて、吸い込まれそうになる。見つめられるほど、顔が火照りだし、熱くなっていくのが分かった。

「好きかもです」
「かも・・・・って・・・・、どっちなの?」
「ディオのことが好き」

「芸名じゃなくて、本名でもう一回、言って」
「ギョンスのことが大好き」

 言われた通りに言っただけなのに。大好きと口にした後に、彼は、肩を揺らして笑い始めた。口元に手をあてて、笑いを堪えようとしている。クスクスと低くて小さな笑い声が、二人きりの館内に響いた。突然、笑い始めた理由が分からなくて。私は、目を丸くて首を傾げた

「どうして、笑うの?」
「好きが、大好きになった。ディオよりギョンスのほうが好きなんだ?」
「それはー、えー、」

 言葉に詰まって、何も言えなくなってしまう。考える暇もなく、彼は、私を再び強く抱きしめた。大きな両手で包み込むように抱きしめられて、込み上げる愛しさは抑えられそうになかった。甘すぎる展開に、涙腺が堪えきれなくて。瞬きをすると、少しだけ、涙が零れた。

「本当、可愛すぎるよ」

 耳元で囁いて、私の小さな背中を宥めるように撫でた。私を可愛いと言ってくれた声が、いつまでも心地良く耳元に響いた。

「どうしてか分からないけど、初めてに会った時に思ったんだ。はきっと、俺の大切な存在になるって」
「私が・・・・・?」
の側にいると、なぜだか心が落ち着くんだよね。どうしてかな。俺って、すごく人見知りするのに。この手が、ものすごく温かかったせいかも」

 彼の長い指先が、私の手に絡まった。指先からも彼の温度を感じると、温かい胸の中でそっと目を閉じた。

 繰り返し与えられる甘い言葉の数々に、私は、静かに耳を傾けた・・・・・・。

「すごく会いたかった。ずっと、会いたかったよ。でも、またきっと会えるって信じてた」

「この映画館で、偶然にも、に出会えたことを運命的に感じてしまう。例えるなら、数え切れない雑草の中から、四葉のクローバーを見つけた時みたいな感覚だ」

「やっと、探してた人に巡りあえた・・・・的な?あ、ちょっと・・・、自分でも恥ずかしすぎるセリフで吹きそうになった」

「俺の彼女になるということは、人一倍、寂しがらせてしまうことになるかもしれない。さっきも聞いたけど、その覚悟はできてる?」

 顔を上げて、彼を見上げた。口を開くと、彼は、人差し指を立てて、私の唇にそっと近づけた。

「待って!言わなくていい。聞くのがちょっと怖くなってきた」
「どうして?」
「既成事実も出来たから、もう恋人同士なわけだし、余計なことは考えなくてもいいでしょ」

 視線が絡み合うと、私達は互いに微笑み合った。

 広い世界の下、星の数ほどの出会いがある中で、あなたと巡り逢えた。でもね、私は・・・・・・。この奇跡のような出会いを、自らの強運な力で手繰り寄せたと信じたい。

 幸運にも、あなたの彼女になるチャンスを掴めたのは、私だけなの。私以外には、ありえないの。

 だって・・・・・。

 私達は、運命で結ばれている。そう信じて始まる恋も、悪くないでしょ?

「俺達は、互いに惹かれあってる。この感情は、きっと誰にも止められない。どんな荒波や障害が来ても、二人なら乗り越えていける・・・・はず」
「乗り越えられる?大丈夫かな?」

「じゃぁ、止めとく?」
「・・・・・、ヤダ」

「久しぶりに感じる胸のドキドキが、甘酸っぱくて心地いい。きっとこれが、恋という感情なんだろうけど。久しぶりすぎて、戸惑ってしまうことばかりだ」

 いつまでも、映画館の中にいるわけにはいかなくて。薄暗かったはずなのに、閉館前の館内はいつの間にか明るくなっていた。清掃係りの女性は、座席の周りを確認しながら、既に掃除を始めていた。彼は、出口の大きな両開きのドアに向かって、ゆっくりと歩き出した。私も、背中を追いかけるように、歩き始めた。すると、彼は、出口の直前で、ゆっくりと私に右手を差し出した。

「手をつないで・・・・、いいの?」

「いいよ。ほら、おいで」

 手を伸ばした途端に、ポケットの中に手を隠されてしまった。意地悪そうに微笑むから、思わず、唇を尖らせてしまう。

「って、思ったけど、やっぱり、人目が気になるから、やーめた」
「ひどい!今日が、最初のデートなのに!」

「ほら、行こう。後で、家に着いたら、いっぱい・・・・・、可愛がってあげる」

 後ろを付いて歩いる時に気が付いた。歩く早さを、私の歩幅に合わせてくれているのだと。さりげない気遣いが嬉しくて、私は、甘えるように自分から腕を絡ませてみた。腕を組んで並んで歩いても、彼は嫌がらなかった。むしろ、恥ずかしそうに、はにかんだ笑顔を見せた。




2017/01/29





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アルバム:EX’ACT - The 3rd Album
トラック01:Lucky One
EXO

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プロフィール

ちゃぴ子(りぞこ)

Author:ちゃぴ子(りぞこ)
k-popでの初恋はユチョンでした。

私の好きな曲紹介。(ソロ曲含む)

SHINee
1.LUCIFER 2.vew 3.BETTER 4.Prism 5.Press Your Number

スーパージュニア
1.My Love,My Kiss,My Heart 2.Devil  3.SORRY, SORRY 5.Let Me Kiss

EXO
1.Overdose 2.Artificial Love 3.LOSE CONTROL  4.Exodus


東方神起
1.Off-Road 2.Something 3.呪文 -MIROTIC- 4.Champagne


BEAST
1.12:30 2.Beautiful Night 3.Fiction 4.caffeine 5.Mystery 6.No More 7.CAN'T WAIT TO LOVE YOU 8.Whole Lotta Lovin

ジェジュン
1.Don't Walk Away 2.Love You More


その他 (順位関係なしで)

EXID – UP&DOWN
Twice – TT
INFINITE - The Eye、Paradise
テヨン - Why
BTS - Blood Sweat & Tears、I NEED U
チャン・ジェイン - 幻聴
XIA - Turn It Up 、X Song
CNBLUE - LOVE GIRL
BoA - Only One
ユチョン - I Love You 、彼女と春を歩く
ASTRO - Again


2016/01/01屋根部屋プリンス一挙放送でユチョンを知る。そこから、k-popアイドルに夢中になりました。

SHINeeやEXO、SUPER JUNIOR、BEAST、東方神起、ジェジュンの音楽が好きです。

記録)

2016/02/01 東方神起FCに加入。
→2017年 2年目 継続

2016/08/18 SHINee FC加入。
→2017年 2年目 継続


2017/03/22 スーパージュニアFC加入。


短編小説は、性的表現を含む小説もありますので苦手な方はご遠慮ください。現在のところ、BL小説はありません。男×女の恋愛小説です。

文才のない素人ですが、楽しみながら一生懸命書いてます。ご訪問者様にも楽しんでいただけると嬉しいです。
ウェブ拍手大歓迎(*´~`*)

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